原美術館、「ヘンリー ダーガー 少女たちの戦いの物語ー夢の楽園」

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

この暑い中、原美術館、「ヘンリー ダーガー 少女たちの戦いの物語ー夢の楽園」に。
原美術館にははじめていったが、あんな奥まった場所にひっそりと存在しているとは思わず、あやうく門前を通り過ぎるところだった。建物自体、小さいし、パシフィックホテルの裏手の住宅街に、本当にひっそりという感じの美術館。会場や通路も狭いし、人一人ややっと通れる程度の幅の階段。ヘンリーダーガーの絵を飾るのは、かえってこん程度の「ささやかさ」がふさわしいのかもしれない、と、思ったり思わなかったり。
肝心の絵の方は、何しろ会場が狭いので、展示されている点数が少なく、拍子抜けするくらいだった。あと、チラシにもあるとおり、「拷問や殺戮といった残酷なイメージも数多く描いた」ダガーだが、そっちの方は展示されず、もっぱら「少女」の絵が多かった。
そのタッチも、うまいか下手かでいったら、確実に下手。まあ、もともと、うまい下手で評価すべき作家でもないけど。
ただ、雑誌などの切り抜きやを貼り付けたり、絵の具をやらた厚く塗ったり、めちゃくちゃ細かく書き込んでいて、顔を近づけなければ何が描いてあるのかわからなかったり……といった部分は、ダーガーが本来持っていた狂気を十分に感じることができた。
あと、女の子の裸と、軍人とか鉄砲など、ミリタリー趣味の強い絵が多かった。この展覧会だけで判断するのは総計ではあるんだけど、ダーガーの内部で、長い時間をかけて発酵しているイメージの幾ばかは、今でいう「萌えと燃え」に由来していることはたしかで、この人が現代日本に生まれていたら、さぞかし香ばしいおたくになったのではないか、とかも、思った。この人に宮崎作品なんかみせたら、さぞや驚喜するに違いない。
「おんなのこ」にもちんちんが描かれているのは、ダーガーが女性のそこについて、何の知識も持っていなかったためなんだろうな。
原美術館公式: http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html