約束の地・スノウ外伝

マンが家・いしかわじゅんの代表作がこっそりと早川から文庫で再刊されていたのだが、ほとんど誰にも注目されていないでスルーされているようなのであった。
「約束の地」と「スノウ外伝」の両方に共通するのは、差別的なギャグが多い、ということと、それに、「ジャンル・コードをチャカしたギャグが多い」ということで、でもまあ、これはこの二作品に限らず、いしかわじゅん作品全般に共通する性質かも知れないな、とか、ふと思う。特に「約束の地」は、いしかわじゅんは秋田とか農協に恨みがあるんじゃないかと思うくらいに差別的なギャグを繰り返し使用する。第一、「農夫病」って設定自体が、第一次産業に携わる人、全般に対する侮蔑的な視線を含んでいる、とみるのは、穿ちすぎだろうか?
いしかわじゅんは頭がいい人だから、自覚的にそうしているとは思うんだけど。
「スノウ外伝」は、こうして通してみると、シリーズ構成その他を、場当たり的に、その場その場で急ごしらえしているなあ、という印象があって、巻末の「自註」をみると、その印象は決して間違いではなかった、という確証が得られる。
やっていることは、あれだ、オールドSFのファンには懐かしい、ゼナ・ヘンダースンや実験的な短編書いていた頃の石ノ森章太郎のパクリなんだけど、何でもかんでもセックスがらみのネタに関連づけてしまうのは、作家性というやつなのでしょうか?