テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

少し前から気になっていた本を、ようやく読み終えたことが出来た。良く話題にされる、「キャラ」と「キャラクター」という概念の説明よりも、第4章の「マンガのリアリティ」の項が圧巻。よい「マンガ論」がでてこないのは、本書でたびたび指摘されているように、「マンガなんて論じるものではない」という思いこみの他に、資料となるマンガ自体の数が膨大で、「通史」に至るまでの整備まで、なかなかいきつかないから、全体像の見通しも必然的に悪くなるからではないのか、と、思う。ともかく、今までにでた「評論」や「マンガ論」を丁寧に読み込み、批判をするにせよ肯定するにせよ、丁寧にその根拠を提示していく「論者としての誠実さ」が、読んでいて気持ちがいい。
この本一冊だけでは、まだまだ「過渡期の産物」という気もするけど、こういう真面目な仕事は、どんどん後に続く人が出てきて欲しいな。