秒速5センチメートル

緻密なロケーションに基づいた背景と、キャラクター間の距離感、それと饒舌なモノローグ。
これまで新海作品から連想される手法をふんだんにあしらって、アニメーションでしか表現できない世界を作り出した、っていうことは、評価出来るか。
「インディーズで」とか「ほとんど一人で一本のアニメを作った」という部分ばかりがクローズアップされることが多いけど、新海誠って、すっげえ作家性が強いクリエイターだなぁ、って、これを観て、思う。同時代のいわゆる「日本のアニメ」とは、面白さのベクトルが違うのだ。こんなシナリオを書けるのはこの人だけだろうし、このシナリオを陳腐に脱することなく「作品」にまとめあげられるのも、この人だけだろう。同じシナリオを、例えば実写で撮影して見せたとしたら、とてもではないが、観られたものではなかったろう。