つむじ風食堂の夜

一見、とりとめのないエピソードが延々とつらなって、でも、ごく緩やかに、それぞれの要素が繋がっていく。でも、とりたてて「山場」とか「オチ」があるわけでもない。
ここで描かれる「月舟町」のどこか懐かしい町並みの魅力とは別に、しばらく顔をみていない旧友の消息を、人づてに聞いたよう時のような、とりとめのない断片的な話しが、その「とりとめのなさ」故に、魅力的に聞こえる。
不思議な感触の連作短編だった。

つむじ風食堂の夜
吉田 篤弘著
筑摩書房 (2005.11)
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