真昼の星空

真昼の星空
真昼の星空
posted with 簡単リンクくん at 2007. 1.26
米原 万里著
中央公論新社 (2005.1)
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嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)以前に読んだ「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」は、自身の少女時代と現代史を絡めた少し「重め」の内容であったのに比べ、新聞の日曜版に連載されたコラムをまとめた本書は、一つ一つのエピソードが短い(文庫本で三ページ分)こともあって、軽妙な印象受け、また、一見して読みやすい。
しかし、その内容をしっかりと読むと、ユーモアや洒脱さの影に隠れてはいるものの、その短い文章の中に古典や外国語、歴史や地理のうんちくがぎっしりと詰まっていて、しかも毎回しっかりとした「オチ」がある、最上級の「小咄」になっている。
これ、将来、「二十世紀という時代がどういう時代だったのか?」を理解するための、格好のテキストになりえる本なんじゃないだろうか?
と、ふと思った。
日本語で書かれた文章で、これほど面白くって、著者の視野が広い本というのも、実は希なんじゃないか、と。
(どちらかの要素のみを満足させるテキストは、腐るほどあるけどさ)