アルキメデスは手を汚さない

小峰元の作品はン十年前に何冊か読んでいて、しかも、その記憶が渾然となって、どれがどれだったか、判然としないありさまだ。
で、これもひょっとしたら既読かなぁ、と思いながら読み始めたが、杞憂で初めて読むものだった。
覚えていたより「硬い」文体だな、と思ったのは、三人称だったせいか。
風俗が、ああ、やっぱり古くさいわなぁ……。
トリックは……まあ、こんなもんだろう。解決に偶然の力を借りるあたりは、本格的なミステリ好きは眉をひそめるかも。
しかし、犯行の事情が明らかになった後、様々な登場人物の機微が見えてくる終盤は、格別の味わいがある。

アルキメデスは手を汚さない
小峰 元〔著〕
講談社 (2006.9)
通常24時間以内に発送します。