如菩薩団

如菩薩団―ピカレスク短篇集 (角川文庫)

如菩薩団―ピカレスク短篇集 (角川文庫)

テーマ別に再編集した筒井康隆の短編集。
未読の作品は全体の三分の一ほどで、ほとんどの作品が再読だったが、風俗描写が妙に昭和昭和しているのが今読むと懐かしい。
それ以外に、今になって読むと、「意外にテーマ主体で、オチが弱い作品とかも多いなぁ……」ということで、これは当時氏が売れっ子だったのと雑誌全盛の時代でかなりきついスケージュールをこなしていたことと関係があるのではないか? 次々とやってくる〆切に合わせて書き飛ばしていた時代の作品は、枚数の計算が甘くなっている作品なんかも多い。
当時は読み切り短編小説を掲載する雑誌が現在よりよほど多かったし、今ほどメディアが多様化していなかったせいで、「娯楽」の中で小説が占める比重も大きかった。