塵骸魔京 〜ライダーズ・オブ・ダームネス〜
モトネタのゲームやったときの感想は、
「このテーマうやるなら、圧倒的にボリューム足りないよ」
だった。
異民族……それも、時に捕食者/被捕食者でもありうる異種族と人間との関係を、伝奇物の文脈で語ろうと思ったら……ヒロインは、この人数では絶対足りないのである。
だから、前巻↓
の後書きで、
さて、TRPGから始まった『塵骸魔京』は、元々完結した物語ではなく、世界観だった。最初、企画書を提出した時は、ヒロインの数は十人を超えていた。
とあるのは、圧倒的に正しい。
この世界は、それだけの奥行きがあったり、たかだかゲーム一本でもって閉じれるほど狭いものではないと感じた。
ヒロイン、という言い方が悪ければ、「立場が違う者の種類」とでも言おうか。主人公、あるいは「人類」と異なる関係を持つことが出来る立場の種類、が、それだけ想像できる世界観であり……あのゲームだけで閉じるのは、惜しいな、と思った。
だから、この小説版が単なる「ノベライズ」なら買わなかったし、読まなかった。
「ゲーム内に含まれていてもおかしくない別ルート」を書いた内容だから、安心して読むことが出来た。
正直、この小説版のヒロインは、本来はゲーム内できちんと補完されるべきキャラクターであり、このヒロインのルートがなかったのはゲームの方の瑕疵だったと思うが……それでも、小説という別の表現形式であれ、かなり完成度が高いものが公表されたのは、慶賀すべきか。
……読んで面白くなかったら、こき下ろすところだけど……「既製品の世界観を使っている」という前提さえ了解できれば、かなりいい線いっているもんなぁ、これ……。