わたしなんざは室町期の公事とかのディテールで楽しめたけど、一般的にはどうなんだろうか?
最初から出てくる源太=源左衛門という男が、河原の悪党→金貸しの手下→悪代官と進化していくピカレスクロマンとして読んでいたら、途中から、それ以上の非常でもって代官にまで成り上がった源左衛門に搾取される月ノ浦の村人たちがしゃしゃり出てきてちょっと面食らう。
いや、それはそれで面白いといえば面白いんだけど、「搾取する側VSされる側」という対立の構図は、現在となっては些かステレオタイプにすぎやしませんかねぇ?
源左衛門の主役一本でやっても和製嵐が丘、みたいな作品は成立したんじゃないかな、と、ふと思ったり……。
いやでも、それでは「歴史小説」というカテゴリからははみでちゃうのか。