聖者の異端書

面白い。
一応、ファンタジーの趣向は借りているけど、深い人物造型とそれを簡潔な文章で表す、という骨格は、すぐれた冒険小説のもの。ストーリーのライン的には女性向け(ハーレクイン的な傾向)が入っているので、その辺で読者により好みが別れるかもしれないけど、シンプルに見えて細かい所に「細工」がきっちり入っているあたり、流石というか、うまい。一例を挙げると、最後の最後になってタイトルの意味がわかるところとかさ。
この人、これがデビュー作みたいですけど、間違いなく「買い」でしょう。C Novelの編集者は、基本的にエンタメのことを肌で理解しているように思う。

聖者の異端書
聖者の異端書
posted with 簡単リンクくん at 2005. 8. 3
内田/響子??著
中央公論新社 (2005.7)
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